2011年10月29日土曜日

家族





昨日の夜のこと。
いつも夕方の5時には帰ってきているはずの父が、帰ってこなかった。
携帯を持っていなくても、遅くなるときは必ず家に電話があるはずなのに。。
11時をまわり、さすがにこれは、探しに行かなきゃと、
おばあちゃんは茶の間に待機し、私と母は車に乗り込んだ。
暗い夜、森、、恐い森、母がいつも聴いてるモーツアルトのCD。
スピーカーからはフィガロの結婚が大音量で流れていて、
頭の中は余計にめちゃくちゃになりそうだった。
車が走れば走るほど。

お父さんは、私が小学校4年から中学2年生の時、長い間家を飛び出していた。
そのときのこと、一挙一動を、嫌でも思い出してしまう。

母は、「定年を過ぎたし、体も弱いし、発見されずに山で倒れてるんじゃないか」と心配し、泣いていた。

家族でありながら、あまり顔の合わせることのない家族。
帰宅時間はばらばらで、ごはんも、それぞれすきなときに好きなように。
それぞれに好きなことをして、会話も少ない家族。
おはよう、とおやすみ、くらい。それだって、家の中で顔を合わせたときだけ。

スピーカーからレクイエムが流れ出して、不安が加速。
帰ってきたら、お父さんに携帯を持たせようね、そんなことを話して、泣いた。

お父さん。
最近ものすごく髪が薄かった。
若いときはミックジャガーに似ていたらしい。
映画はヒッチコックとゴッドファーザーが好き。お気に入りは確か”裏窓”。
いつもキャベジンを飲んでいる。
お酒を飲まない、たばこは吸う。
おしゃれには興味がない。
好きな音楽がたくさんある。Pink floyd,Uraia Heep,Rainbow,King Crimson,ELP...
好きなアルバムは”狂気”。
ナナフシみたいに痩せている。
カレーとラーメンがすき。
ちばてつやの漫画をたくさん持っている。”俺は鉄平”がお気に入り。

無事に帰ってきて。


願っていた時、携帯が鳴った。おばあちゃんから。「帰ってきたよ」
、家に着くと。
ラップでおにぎりを作りながら、、「いやー、ごめん。友達の家に久々に行ったら、こんな遅くなってた」
と、おとうさん。
ほっとして、気が抜けた。けれど、ほんとうに良かった。12時過ぎ。

いてもいなくてもいっしょ、そんなことない。
家族って不思議。噛み合わなくたって、ぎすぎすしたって、ときどき、ホカホカする。
大切なのだな。
私は、弟のお姉ちゃんで、父と母の娘で、祖父と祖母の孫。
いつかは誰か愛し愛される人と出会ったなら、新しく始まる家族もあるのかな。
自分のことばかりで忘れてしまっていた。
それぞれに、心配事も体の不調も、そして夢もあるけれど、
家族との、いまこの時を、大切にして、暮らしていきたい。